02 Nov
02Nov

SCT2021年新作映画『HALF』脚本担当の中井由梨子(mosaique-Tokyo)です☆

2週間空いて…。

第3回と第4回のワークショップが開催されました!

写真左から)福岡瑠璃さん・秋山純監督

この1週間前に、受講者には新しいスケッチ台本が配布されており、それぞれに本と向き合ってきてもらいました。第1回と第2回にお伝えした

本と向き合う。

書き手の意図をキャッチする。人物の行動を分析する。

なぜ? どうして?

を大切にする。

台詞を覚えることが俳優の役割ではない。

1週間、本と向き合ってくると、台詞は

いつの間にか身体に入っている。

写真左から)橋谷拓玖さん・松浦正太郎さん・杉山宗賢さん・沖﨑健司さん

今日のシーンスタディは、

夜8時になると女性体に変化してしまう主人公のミナミが、8時ギリギリまで職場の飲みに付き合わされ、時間との闘いで焦るシーンと、8時を過ぎ、女性体になったミナミが彼氏である周作の部屋を訪ねるシーンの2つ。

写真左から)橋谷拓玖さん・松谷鷹也さん

1シーン目。あと数分後に女性体に変化してしまうミナミ(橋谷さん)は、自分の体質を周囲に悟られないために、酔っぱらって管を巻いている上司の野渡丘(松谷さん)の長話をどう切り抜けようかと焦っています。

写真左から)福岡瑠璃さん

そこへ野渡丘の元彼女、律子(福岡さん)が現れ、ますます帰れない事態に…。

写真左から)橋谷拓玖さん・沖﨑健司さん・松谷鷹也さん・松浦正太郎さん

写真左から)福岡瑠璃さん・橋谷拓玖さん・松谷鷹也さん

シーンスタディに入ると、とたんに俳優は自分の視点一点だけになりがち。

けれど、常に持ち続けなければならないのが”客観の目線”

演じている自分と対局にいる、冷静に自分を見つめている視点を持ち続けることが大切になります。

その客観の目線の中で計算していくことの一つに

距離感

がある。

日常生活の中でも、知らず知らずのうちにとっている他人との距離感。これ、演技をするときに自分の感情や相手との関係、このシーンの意味合いを決定づける重要な要素となります。もしかしたら、台詞より重要かもしれない。

ただ、近いのか?遠いのか?だけではない。距離を詰めるタイミング、離れるきっかけ。その時、心はどう動いたのか?

たとえば演技中に「思わず離れた」という行動を自分がしたとしたら、演技後に少しだけ、自分に聞いてみるといいかも。

なぜ、離れたんだろう?恐怖心、拒否感、驚き…?もしかしたら、物理的にぶつかりそうになったからかも…?

そうやって”自問自答”を続けるうちに、客観の視点が生まれてきます。

写真左から)吉木遼さん・沖﨑健司さん

2シーン目は、女性体に変化した後のミナミ(沖﨑さん)が、恋人の周作(吉木さん)の部屋で夜ご飯を食べるシーン。昼間、男性であることの自分を知らない周作との関係を続けたいミナミは、結婚を本気で考えている周作の想いを知り、悩みます。

写真左から)松浦正太郎さん(周作)・福岡瑠璃さん(ミナミ)

写真左から)松谷鷹也さん(周作)・杉山宗賢さん(ミナミ)


女性、男性に問わずキャスティングするのもSCTの特徴。

男優が女性を演じ、女優が男性を演じることも、軽々やります。

俳優に性別はない。

なんなら、人間以外のものも演じるのが俳優ですから。


SCTの秋山純監督が提唱する大切なメソッドの一つとして、

ディレクターズアイを持つことがあります。

つまり、監督としての視点を持つ、ということ。

講師の秋山監督は、俳優さんたちの演技を一か所に座ったまま見ていることはあまりありません。

しょっちゅう立ち位置を変えている。それは監督の視点であり、カメラ位置でもあるのです。

一生懸命演じたのに、編集された仕上がりを見たら、自分の演技は全部カットされていた。

…なんていう、かなしい経験ないですか。

監督がこのシーンから何を切り取るのか?自分の力量とその作品内でのポジションや役割を知れば、カットされない在り方も生み出せるんです。

何度も繰り返しお話していますが、SCTW.Sでは、演じ方は教えません。

現場での在り方を追究するだけなのです。

俳優として、ただその場で役として在り続けるだけではなく、

監督が何を撮りたいのか?を汲み取ってみる。

だけど、まだ若手の俳優は、監督と話すこともままならない。

じゃあ、どうやったら汲み取れるのか?

簡単なこと。

本を読むのです。本の意図を汲み取れば、おのずと監督の意図と重なってきます。

台詞はカットされないけど、喋ってない時の小芝居はカットされる可能性大。

台詞の前ではなく、台詞の中に最大限の芝居を集約させるのです。

写真左から)杉山宗賢さん・吉木遼さん・松浦正太郎さん・沖﨑健司さん。監督の言葉にじっと耳を傾け、何を撮りたいのか?を汲み取ることを学びます。


「言われたことを言われた通りにやる」

ではなくて。

「自分の解釈を否定して他人に合わせる」

でもない。

汲み取る。

監督や演出家は、俳優にとって敵とか主人、ではありません☆

互いに良い作品を目指す、最高のパートナーなのです。

だから、敵対せずに、関係を育むのです。


この育みあいも大切な作品作りの要素であり、そう在り続けることが出来れば、必ず愛されます。

視聴者から、共演者から、スタッフから、そして芸能の神様から。


次第に皆さんの演技が、演技ではなくなってきました。

演じ方ではなく、在り方を問われるSCTW.S。第4回へ続きます!!



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